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- ドクターズインタビュー
1.
2022年7月に開院されましたが、
独立開業のきっかけは?
医師、整形外科医として15年間、中核病院ばかりで手術を主軸とした整形外科医として1,000件以上の肩関節治療を中心に様々な手術を行ってきました。大変やりがいがありましたが、手術のあとのリハビリの大切さも身に染みて感じました。
肩の痛みを訴える方は多いのですが、四十肩や五十肩だと自己判断して放置されていたり、病院を受診しても正しい診断がつけられず、ダラダラ漫然と治療を受けている方は多いです。エコーやMRIを用いた正確な診断、それに対する治療法(エコーを併用した適切な部位への適切な薬剤の投与や、リハビリテーションなど)が効果を発揮する場面を多く経験して参りました。手術を多く経験してきたからこそ判断できる、手術を勧めるべきか、それとも手術をしなくても症状を緩和もしくは消失させることが期待できるかの境界線があります。
また、当院が力を入れていることに骨粗しょう症治療があります。近年、健康寿命(健康上の理由で日常生活に制限を受けることなく生活できる期間)が注目されています。健康を損なう原因のトップは運動器疾患、すなわち整形外科の病気で、なんと全体の1/4です。
高齢者の方々の骨折は多くが予防可能でありながら、なかなか注意が向けられていないのが現状です。病院で手術を受けられる高齢者の方の多くは骨密度が低下しています。転倒など、比較的軽度の力が加わっただけで骨折をきたしてしまい、骨折により手術が必要となったり、日常生活レベルが一気に低下する要因となります。
地域に根ざし、当院に訪れるみなさまが“健康に”長生きできるように、また痛みなどお困りの症状から解放されるようにサポートをすることが目標です。正確な診断と丁寧な説明を行うことで、患者さまと同じ方向を向きながら“患者さまに寄り添った医療”を提供し、ともに喜びを分かちあえるようにと開業に至りました。
2.
現在の場所で開業された経緯は?
ここは、整形外科の治療を必要とされるご高齢の方だけでなく、若いファミリー層や学生も多い地域です。上述したようなモットーに基づいた医療が貢献できると考えたとともに、これまでのアスリートへの治療経験などから若い世代の方への早期治癒を目指した治療や再発予防にも繋げられる地域だと思ったからです。当院は3階に100平米超のリハビリ専用のスペースがあり、こうした設備を導入できる条件を満たしていたことも決め手となりました。
3.
どうして整形外科医になろうと
思われたのでしょうか?
「折角、人として生まれたからには、誰かの役に立つ職業に就きたい。ひいてはそれが自分にとっての生きる意味になる。」という思いがあり、それが医師を志す動機となりました。
整形外科医を目指したきっかけは、私自身、スポーツをしていて足首のケガでリタイアせざるを得なくなった経験が大きいです。また研修医として勤務していた際に、骨や関節のケガや病気で受診された患者さまが、手術やその後のリハビリに励んでいる姿を目の当たりにして、病院の中ではとても前向きな科で、自分の性格にもあっていると感じたからです。実際、整形外科医になってからも、外来での診断や治療法、また手術技術の研鑽を積むことで、自分の中で明らかにスキルアップして、より良い医療が提供できるようになっていることを実感できたことにもやりがいを感じていました。
四十肩・五十肩の診断は難しく、
診断が間違っているケースも
治療・リハビリを続けても痛みがなくならない方は
一度ご相談ください
4.
肩関節が専門とのことですが、
四十肩や五十肩でも受診するべきですか?
四十肩・五十肩という病気は、他に肩の痛みや動きの制限の原因となる異常がないにも関わらず、原因不明に関節内で強い炎症が生じてしまい関節を覆う関節包という袋状の構造物が分厚く収縮してしまうことで生じます。ただ、この他に原因となる異常がないと判断することがなかなか難しいようです。鍼灸院や病院を受診していても、他に痛みや動きの制限の原因となる異常があるにも関わらず、適切な診断がなされずにダラダラ漫然と治療を受けておられるケースも少なくありません。
適切な診断のもと、その異常に対して適切な治療を行うことがとても重要です。そして実際に四十肩・五十肩であったとして、実は四十肩・五十肩にも早期に適切な治療を行うことで、劇的に症状が消失・軽快させることが可能です。
5.
具体的にはどのような治療を
行われるのですか?
様々な治療方法が検討されますが、例えば、当院であればエコー下で障害が起こっている部分に薬を注入する治療を行うことができます。これには専門的な技術が必要で、エコーがあるから誰にでもできるというものではありません。どこが痛みの原因かを判断し、患部へ直接、薬を注射することで改善が期待できます。また、多くの経験から患者さまの症状のステージにより、今回の治療でほぼ完治が望めるのか、もしくは継続してのリハビリテーションが望ましいかといった経過予測をつけることができます。
6.
「四十肩・五十肩の診断は難しい」
とのことですが、どんな疾患と
間違われやすいのですか?
特に多いのは肩腱板断裂です。腱板というものは、甲骨から始まり、二の腕の骨(上腕骨)の頭側を取り囲むようについている4つの筋肉の総称で、実はとても絶妙なバランスを保って機能している肩関節にとって必要不可欠なものです。年齢とともに、この腱板断裂の頻度は増加し、痛みや動きの制限の原因となります。
上述したように四十肩・五十肩かどうかを診断するためには、他の異常がないことを判断しないといけませんが、肩の痛みと動きの制限を訴える患者さまにおいて本当に異常がないかを身体所見や画像から判断するには技術を要します。MRIがこの腱板断裂の診断には有用なのですが、画像から異常があるかを判断することにも、かなり経験がないとなかなか難しいようです。病院勤務時代は、MRIで異常なしと腱板損傷を見逃されて紹介されることや、逆に損傷がないにも関わらず異常ありと誤診されて紹介されることが多くありました。
実際に腱板断裂を認めた際には、根治的(構造的に元通りに治す)には手術しかないのですが、その際のメリットやデメリットも熟知しておりますので、患者さまの背景にあわせて具体的な治療方針の相談を行うことができます。肩の症状でお困りの方や、通院していてもなかなか回復しない方は、ぜひ一度お気軽に当院へご相談ください。
7.
その他、力を入れて診ていきたい
疾患は?
骨粗しょう症治療です。正確な診断のために、DXA(デキサ)法による骨密度検査が行える骨密度測定装置を導入しています。多くの人にとって、長生きすることは目標のひとつであると思います。しかし、病院で勤務していると“元気に”長生きすることの大切さを強く感じます。先ほど申し上げましたように、健康を損なう原因のトップは整形外科の病気で、全体の1/4です。高齢者の方々で骨折すると日常生活レベルが一気に低下する要因となってしまいます。
ただ、骨密度は元気に生活できている間は目に見えず、なかなか自覚しにくいことです。時間的にも、費用的にも骨密度の計測は比較的負担が小さくできる検査です。特に女性ホルモンの低下に伴い骨密度が低下しやすい女性の方は、一度検査を受けられることをおすすめいたします。早期に治療を行うことで、高い治療効果が得られ、その後の骨折予防につながります。
当院は、日本骨粗鬆学会のガイドラインでも推奨されているDXA(デキサ)法による骨密度検査を行っております。骨粗しょう症で骨折しやすい腰椎(腰の骨)と大腿骨(股関節の骨)の骨密度を測定し、正確に診断します。実際に治療が望ましい状態の方には、それぞれの患者さまの年齢や生活背景などを考慮したうえで納得頂ける治療法を提案、実践いたします。
“患者さまに寄り添った医療”を提供し
その方のライフスタイルに合わせた
治療方針を提案・実践
8.
最後に、クリニックのコンセプトを
教えていただけますか?
“患者さまに寄り添った医療”を提供し、その方のライフスタイルに合わせた治療方針を提案・実践することです。長年、中核病院で研鑽を積んできているため肩関節疾患に限らず、全身の整形外科疾患の専門的な診療にも精通しております。最新の検査機器と、新しい治療方法への知見をアップデートしながら提供できるように努めて参ります。しかし、最も大切なことは患者さまの生活状況(仕事・家庭・住居環境や経済的問題など)を考慮したうえで、無理なく継続できるような(サステナブルな)治療プランを提案し、患者さまが理解・納得される医療を受けられることだと考えています。一方的な治療の押し付けではなく、回復に向けて同じ方向を目指し、寄り添いながらみなさまの治療のサポートを行います。どのような症状・疾患でも「どこがどのように障害されているのか?」を認識することが肝要で、筋肉、関節、骨、神経のどこに原因があるのか、どのようにアプローチすれば改善が見込めるのかをしっかりと見極めたうえで、最善の治療方針をご提案・ご提供いたします。
また通院方法についても、みなさまの生活スタイルに寄り添えるようなシステムを導入しております。これまで通院といえば、長時間待合室で待つことが当然であったり、投薬で調子が良くなっても薬をもらうためだけに仕事や家事の合間を縫って受診し処方箋をもらって薬局へ行って、また薬ができるまで待って・・・が普通でした。当院ではWebやLINEで簡単に予約がとれるシステムです。前日までであれば、時間帯を指定して予約が可能で、時間帯予約の方を優先して診察いたします。当日予約の方は来院もしくはWeb/LINEで待ち順番を取得したら、もう待合室にいる必要はありません。近隣にはカフェやスーパー、服飾店が多くあり、そちらで時間を有効利用して頂ければ、時間が近づけばLINEでお呼び出しいたしますのでお戻り頂ければ結構です。
また、投薬の変更がなく継続しての投薬を希望の方にむけてオンライン診療も行っております。新たにアプリを入れる必要もありません。Web/LINEでオンライン診療を予約して頂ければ、こちらからその時間にLINE電話で問診(数分)を行います。お食事中でも結構です。その後、ご指定頂いた職場やご自宅近くの薬局で薬を受け取れます。
通院も負担にならないように。どこまでも患者さま目線で寄り添えるクリニックでありたいと思っております。